ところで同時にもう一つ面白い文章が出てきましたのでこちらの話も。これは私が書いたものではなくて最初に言ったコピーで、Edward Alexander Westermarckの一九二六年の著作A Short History of Marriageの邦訳『人類婚姻史』(江守五夫訳、一九七〇年、社会思想社)の、外婚制を扱った第四章の全文です。ちなみにこの『人類婚姻史』という書名ですが、これにはちょっと注意が必要です。というのも『人類婚姻史』というのは元々一八九一年の同著者の著作The History of Human Marriageの邦題で、これが極めて長大な著作であるため日本での出版が不可能であったため、著者自身によるその抄版であるA Short History of Marriageを代わりに翻訳し、タイトルだけ『人類婚姻史』にして出版した、という経緯なのです。
で、そんな超昔の文献が一体どうしたというのだーとお思いでしょうが、詳しいひとなら最初からお気付きのとおり、これは幼馴染み属性に対する批判においてよく持ち出される「ウェスターマーク効果」の出典なのです。前述の一八九一年の著作が出典なので、厳密には、日本語で読める文献の中で最も出典に近い文章、ということになりますが。ウェスターマーク効果というのは、Wikipediaから引用してしまえば「幼少期から一緒の生活環境で育った相手に対しては、次第に性的興味を持つ事は少なくなるという現象」のことで、なるほど確かに幼馴染み属性はほぼ全否定です。個人的には、ウェスターマーク効果は幼馴染み属性とはほとんど相反しないのではないかなあなどと思っているのですが、この辺り書き出すとやっぱり私の趣味の暴露にしかならないのでやめます(笑)。
ともかく、こんな文献までコピーしてきて、当時の私は何をしていたんだろうなあと改めて謎です。そこまで幼馴染みを探究したいかと。ぶっちゃけただの馬鹿だろうと。ちなみに私、この本に書かれている、婚姻制度とかそういうものに関する専門知識は皆無です。ぶっちゃけウェスターマークが誰なのかもよくはわかっていなくて、このA Short History of Marriage第四章は本当に幼馴染みへの興味から読んだだけです。しかし読んでみてわかるのは、ウェスターマークはあくまで婚姻制度とかインセストタブーとかの話をしているのであって、幼馴染みの話は出てはきますが実は最重要では全然ないということです。